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信楽汽車土瓶プロジェクト1

明治時代から昭和40年代まで鉄道における駅弁のお供であったお茶の容器としての汽車土瓶が信楽で作り続けられていました。ポリエチレン容器が登場して以降、汽車土瓶づくりは一度途絶してしまいました。

その後、信楽学園では2008年から学園の運営を立て直すべく汽車土瓶が復刻され、信楽高原鐵道では2013年の台風に伴う運行休止期に存在をアピールするために汽車土瓶のグッズ化をすすめられました。そこには陶産地としての信楽、町の足としての信楽高原鐵道、産地と結びつきながら展開する福祉施設である信楽学園が汽車土瓶を仲立ちに分かち難く結びついている「物語」がありました。

 現在の汽車土瓶が持つキーワードである「ローカル線」「福祉」「産地」が信楽の縮図であると考えるようになり、汽車土瓶をめぐる物語を広く知ってもらうためにパッケージのデザインをしようと考えました。

 さらにはパッケージのデザインだけではなく、多くの方々に知っていただくために汽車土瓶の展覧会とトークショーをしたいと考えるようになりました。

 そして、2018年3月にパッケージは完成し、そのお披露目でもある「信楽汽車土瓶展」を信楽町内のギャラリー「FUJIKI」にて開催することになりました。会期は3月9日から24日までの約2週間。展示にあたっては信楽学園、村瀬汽車土瓶工場、京都市立芸術大学の畑中英二先生、信楽町観光協会の松田晃余さんのコレクションなどを借用しました。

 展示初日には滋賀県立陶芸の森とのタイアップでトークショー「対話の森」を開催しました。登壇者は京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)の松井利夫先生、畑中先生、信楽学園(当時)の逢坂さん、そして私の4人で、信楽汽車土瓶をめぐるさまざまな話題について楽しくお話しさせていただきました。トークショーでは、信楽だけではなく外の事例を知り、外から信楽を見ている松井先生と畑中先生のお話から視野が広がっていき、信楽汽車土瓶がまだまだ可能性を秘めているのだと感じたのでした。

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