Neo汽車土瓶 展
展覧会主旨
駅弁の友であるお茶の容器。昭和40年代までは陶磁器製の「汽車土瓶」が用いられていました。信楽は汽車土瓶の始まりから終わりまで作り続けていた窯場で、かつ資料が豊富に残されています。とりわけ、福祉の町でもある信楽では、信楽学園で知的障がいをもつ子供たちの職業訓練として汽車土瓶が作られていました。信楽学園での汽車土瓶作りは一度途絶えましたが、2008年に復活し、2013年に台風の影響で橋梁が流され運行中止となった信楽高原鐵道が存在をアピールするべく信楽学園製の汽車土瓶を軸にグッズを販売し好評を博しました。
2018年には信楽汽車土瓶プロジェクトとして「ローカル線×福祉施設×産地」の構造を可視化し、その物語性を広く知ってもらうべく汽車土瓶のパッケージデザインをリニューアルしました。そして、今回はプロジェクト2として「まちへ出て行く」ことを目論みました。
そもそも汽車土瓶とは明治中頃から昭和40年代にかけて鉄道の旅に供された陶磁器製のお茶の容器を指します。故に今日ではペットボトルがその役割を担っており、イベントなどの際に目にするものとなっています。つまり、用途が喪失してしまったものを元に新しいものをつくりだすのが本展の主旨となるのです。
用途を喪失して以降、復活し作り出された汽車土瓶は、産地のローカル線と福祉施設という言わば内輪で回っていました。この汽車土瓶をまちに解き放つことで、どのような変化が生み出されるのでしょうか。
まちに解き放つべく用意したのは汽車土瓶に愛着を持つ作家たち。彼らがどのような視点で信楽汽車土瓶を切り取り、どのような解釈で物語ることになるのでしょうか、お茶を入れる以外にどのような使い方があるのでしょうか。
そんな「~でしょうか?」という疑問を可能性に変えることを目的としています。
また、信楽汽車土瓶が持つ物語や存在意義が社会にどのようなメッセージを投げかけられるのかに思考を巡らせることも私たちにとっては壮大な実験の始まりと言えます。今後も継続していくプロジェクトの一過程であるとご理解いただければ幸いです。
会期
令和3年11月20日(土)~10月27日(土)
10:00〜17:00(入館は16:30まで)
※新型コロナウィルスの関係で、中止・延期になる可能性があります。最新情報は本ウェブサイトをご覧ください。
会場
信楽高原鐵道信楽駅
※本展覧会は信楽高原鐵道信楽駅に留置した車両をギャラリーに見立て、ボックスシートで囲まれた範
囲を一人の作家が占有し、展示を展開します。信楽高原鐵道に理解をいただかないと成し得ない環境を
用意していただいています。
料金
無料(駅構内入場料150円は必要)
※展覧会自体は入場料を取りませんが、記念切符(硬券風)を石版で制作し他ものを持ち帰っていただ
くことにしています。
主催
信楽汽車土瓶プロジェクト
横山絵理 倉澤佑佳 北脇あず美 菊池季 畑中英二
展示内容
信楽に関わりのある6人の作家による「Neo汽車土瓶」作品の展示
松井利夫(京都芸術大学教授)、宇田安利、栗田千弦、藤原雅信、藤原孝親、松田晃余
汽車土瓶関連資料
明治〜大正年間の汽車土瓶や石膏型